ショートスリーパー

2026年08月22日 08:00

眠れない人を「ショートスリーパー」にして、本当に救ったことになるのか?

最近、「1日30分しか寝ない」という自称ショートスリーパーが大きな話題になっています。

医師との対談中に感情的になった姿を見て、

「寝ていないからイライラしているんじゃないか」
「やっぱり睡眠不足は人を変えるのでは?」

そんな声も多く上がりました。

もちろん、画面上の言動だけを見て、その人の健康状態や睡眠の影響を断定することはできません。

ただ、この騒動を見ながら、私は改めて感じました。

「睡眠を削っても大丈夫」という話ばかりが注目される一方で、眠りたいのに眠れない人の苦しさは、あまりにも軽く扱われていないだろうか。

「寝ない人」と「眠れない人」は、まったく違う

世の中には、もともと短い睡眠時間でも日中の機能を保てる人がいるとされています。

しかし、それは極めて特殊な例です。

一方、不眠に悩んでいる人の多くは、好きで睡眠時間を削っているわけではありません。

「今日は早く寝よう」

そう思って布団に入っても、頭の中では考えが止まらない。

身体は疲れているのに、なぜか緊張が抜けない。

やっと眠れたと思っても、夜中に何度も目が覚める。

そして朝になると、身体が重い。
頭に霧がかかったように働かない。
些細なことにイライラする。
気持ちを切り替えられない。

それでも周囲からは、

「スマホをやめれば?」
「もっと運動したら?」
「考えすぎじゃない?」
「疲れれば眠れるよ」

と簡単に言われてしまいます。

しかし、慢性的な不眠は、本人の意志や根性だけで解決できる問題ではありません。

睡眠は、ただ意識を失っている時間ではない

「寝ている時間は何もしていない」

そう考えると、睡眠は削ってもよい無駄な時間に見えるかもしれません。

しかし睡眠中も、脳と身体は重要な仕事をしています。

日中に受け取った情報や感情を整理する。
神経系の興奮を落ち着かせる。
身体の回復を進める。
ホルモンや代謝のバランスを整える。

つまり睡眠とは、活動を止めている時間ではなく、翌日の自分を正常に戻すための時間です。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、成人は個人差を踏まえながら、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。

また、慢性的な睡眠不足は、眠気や意欲低下、記憶力の低下だけでなく、自律神経機能やホルモン分泌、血圧、血糖などにも影響することが知られています。

だからこそ、

「短時間睡眠に慣れれば大丈夫」
「寝なくても本人が平気なら問題ない」

と単純に片づけるべきではありません。

睡眠不足は、感情にも影響する

眠れない日が続いてから、

* 些細なことでイライラする
* 家族に強く当たってしまう
* 不安を抑えられない
* 涙もろくなった
* 人の言葉を悪く受け取ってしまう
* 判断力や集中力が落ちた
* 何をするにも億劫になった

このような変化を感じていないでしょうか。

「性格が悪くなった」
「自分が弱くなった」

そう思って、自分を責めている人もいるかもしれません。

しかし、それは本来の性格ではなく、脳が休めていないために感情を調整しにくくなっている状態かもしれません。

特に、不安や恐怖などの感情に関係する大脳辺縁系と、それに連動する自律神経は、睡眠と無関係ではありません。

心配事やストレスが続くと、布団に入っても脳が周囲を警戒し続けます。

危険がないことは頭では分かっていても、身体はまだ「休んではいけない」と判断している。

その状態では、眠ろうと努力するほど眠れなくなることがあります。

「眠れない」から「眠るのが怖い」へ

不眠が長引くと、夜そのものがプレッシャーになっていきます。

「今日も眠れなかったらどうしよう」

「明日の仕事に影響したらどうしよう」

「あと何時間しか寝られない」

時計を見るたびに焦り、心拍が上がり、身体が緊張する。

そして、その焦りによってさらに眠れなくなる。

この段階になると、問題は単なる睡眠時間の不足ではありません。

脳の中で、

布団に入る

眠れないかもしれない

不安になる

身体が緊張する

さらに眠れなくなる

という反応が繰り返されています。

寝室や布団が、休む場所ではなく「眠らなければならない場所」になってしまうのです。

睡眠時間だけを追いかけない

不眠になると、「何時間眠れたか」ばかりが気になってしまいます。

しかし、本当に大切なのは時間だけではありません。

* 朝、休めた感覚があるか
* 日中に強い眠気がないか
* 頭が働いているか
* 感情を安定して保てるか
* 身体の緊張が抜けているか
* 夜になると自然に眠気が出るか

同じ6時間睡眠でも、途中で何度も目覚める人と、深く眠れている人では、翌朝の感覚が違います。

大切なのは、無理やり長く寝床にいることでも、睡眠時間を競うことでもありません。

身体と脳が、安心して休める状態になっているか。

まずはそこを考える必要があります。

眠れない身体を、根性で慣らさない

ショートスリーパーの話題を見ると、

「自分も睡眠時間を減らせれば、もっと時間を有効に使えるのではないか」

と思う人もいるでしょう。

しかし、すでに疲れや眠気、不安、集中力低下などが出ているなら、身体は「睡眠が足りていない」と伝えている可能性があります。

そのサインを無視して、さらに睡眠を削ることはおすすめできません。

また、眠りたいのに眠れない状態が長く続いているなら、「そのうち治る」と放置しないことも大切です。

不眠の背景には、生活リズムやストレスだけでなく、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、うつ病、不安障害、服薬の影響などが隠れている場合もあります。

強いいびきや呼吸の停止、日中の耐え難い眠気、気分の落ち込みなどがある場合は、まず医療機関へ相談してください。

キュウ整骨院が考える不眠

キュウ整骨院では、不眠を単に「寝つきが悪い」という一つの症状だけで考えません。

ストレスに反応する脳の状態。
呼吸と関係する胸郭や横隔膜。
首や頭部周辺の緊張。
自律神経が休息側へ切り替わりにくくなっている背景。

身体全体のつながりを確認しながら、その人がなぜ休めなくなっているのかを個別に考えます。

不眠の原因は、100人いれば100通りあります。

同じように「眠れない」と訴えていても、

考えが止まらない人。
身体の緊張が抜けない人。
息苦しさを感じる人。
夜中に何度も目覚める人。
朝早く目が覚めてしまう人。

必要な見方は、それぞれ違います。

だからこそ、全員に同じことをするのではなく、身体の反応を確認することから始めます。

本当に向き合うべきは、眠れないあなたの身体

1日30分睡眠が本当なのか。

誰でもショートスリーパーになれるのか。

その議論が気になる気持ちは分かります。

しかし、あなたが今、

眠りたいのに眠れない。
朝起きても疲れている。
イライラや不安が以前より強くなった。
何を試しても眠りが変わらない。

そんな状態なら、他人が何分眠っているかよりも、なぜ自分の脳と身体が休めなくなっているのかを考える方が大切です。

眠れないことに慣れないでください。

身体からのサインを、性格や年齢のせいにしないでください。

睡眠は、削って自慢するものでも、根性で克服するものでもありません。

眠れる身体を取り戻すことは、明日の自分を取り戻すことです。

自律神経や不眠についてお悩みの方は、キュウ整骨院へご相談ください。

※整体は医療行為ではなく、すべての不眠の改善を保証するものではありません。症状が強い場合や長期間続いている場合、睡眠時無呼吸症候群などが疑われる場合は、医療機関の受診をおすすめします。

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